新作小噺集



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うなぎ

土用の丑の日、うなぎ屋さんが、うなぎを焼いておりますと、そこへ外国の人がやってまいりまして。
外人「ウナギ屋サン、ソノウナギノ、カバヤキハ、セイヨウリョウリデスカ、ニホンリョウリデスカ。」
うなぎ屋「え。」
外人「イエ、ソノウナギノ、カバヤキハ、セイヨウリョウリデスカ、ニホンリョウリデスカ。」
うなぎ屋「ええっと、これは、洋食(養殖)です。」


おなら

あるホモのパーティーで、みんなで音高くおならのコンテストをすることになりまして、 ところが、みんなすーすー、すかすか、音高くおならがなりません、最後に登場したホモ が、音高くおならをブーッ、すると会場にいた他のホモたちが、「あいつ、童貞じゃない の。」


お年寄り

今日はね、敬老会と言う事で、元気なおじいちゃんおばあちゃんでいっぱいでございま すけれども、実は、私にもおじいさん、おばあさんがいるんでございますけれども、うち のおじいさん、おばあさん、みなさんと違いまして、だいぶ耄碌しておりまして、うちの おばあちゃんなんでございますが、このごろ、肩がこる肩がこる、なんて言うんですね、 『ああ、四十肩だぁ。』なんて言っておりましたが、ま、年は八十なんでございますけれ ども、私が『おばあちゃん、四十肩なんて事あるかい、年は八十じゃないかい。』ってぇ ますと、『こっちが四十肩で、こっちが四十肩で、併せて八十。』と言っておりましたが、 ああ言うのは、足算するんでございましょうかね、あんまり、肩がこる肩がこる、と言う もんですから、この間、私が、ピップエレキ盤を買ってあげたんです、おばあちゃん、こ れ肩こりに利くよってんで、そうしますと、うちのおばあちゃん、だいぶ耄碌しておりま すので、ピップエレキ盤、薬と間違えて、全部、飲んでしまったんですねぇ、次の朝は、 しっかり、北を向いて寝ておりましたが、ま、分かる方だけ、分かっていただければ、い いんですけれども、これも、うちのおじいちゃんなんでございますけれども、この前、う ちでテレビを見ながら、こう、電気剃刀で、髭をそっておりまして、こう、じーっと、そ っておりますと、突然、おじいちゃんの動きが止まりまして、じーっと、ここに電気剃刀 を当てたままなんですね、いつまでたっても、じーっと当てたままで、だんだんここの皮 が薄くなってまいりまして、しまいには、うっすら血がにじんでまいりまして、それでも、 じーっと当てたままなんで、私が『おじいちゃん、どうしたの。』って聞きますと、おじ いちゃんが、こうテレビを指差すですね、私が慌ててテレビを見ますと、あれは、テレビ 局の方で、機械の調子でも悪かったんでしょうねぇ、画面に、『そのままでしばらく、お 待ちください。』と出ておりましたが、これは、この間なんですけれども、私が用事があ りまして、出かけようとしまして、駅まで行ったんですけれども、そうすると、そこに一 人のおばあちゃん、あのおばあちゃんは、地方から出てきて、都会の方で電車に乗るのは、 初めてだったんでしょうねぇ、切符の自動販売機に、ちゃりんちゃりんってんで、お金を 入れますと、自動販売機に向かって、『東京一枚。』叫んでおりましたけれども、もちろ ん、自動販売機に向かって、そんな事言っても、切符は出てきませんので、私が、『おば あちゃん、これは、そんな事言ってもだめなんですよ、東京へ行く値段のボタン、ここの ボタンを押さなければ、いけないんですよ。』っと、教えますと、おばあちゃんは、『お おき、ありがとうございます。』ってんで、東京へ行く値段のボタン、押しながらまだ、 『東京一枚。』、叫んでおりましたけれども、ひじょうにかわいらしいおばあちゃんで、 こう言うおばあちゃんの後を付いていくと、また、なんか落語のねたになるような事があ るんじゃないかと思いまして、私がそのおばあちゃんの後を付いてまいりますと、おばあ ちゃん、ホームの中程までまいりますと、突然、びくっとしたように、足を止めまして、 『わー、わー、わーっ。』叫んでおりまして、私が、なんでおばあちゃん、叫んでいるの かなぁ、と思いまして、おばあちゃんが見ている先を、こう見ますと、看板が出ておりま して、その看板に『JR、あなたの声を、お聞かせ下さい。』


ついで

世の中には、そそっかしい、なんてぇ人がおりまして、かけてるメガネを探したり、マ スクをしたまま、エヘン、なんてんで、つば吐いちまったり。
旦那「定吉、ああ、お前、ちょっと用事を頼まれてほしいんだ、ちょっと郵便局まで行って きてもらいたいんだが。」
定吉「へーい、行ってきます。」
旦那「おい、行ってきますって、用を聞かないで、飛び出すやつがあるか、おおい、行っ ちゃったよ、どうして、あいつは、ああそそっかしいんだろうな、郵便局へ何しに行く つもりなんだよ、あ、帰ってきた。」
定吉「へぇ,行ってきました。」
旦那「行ってきたって、どこへ行ってきたんだよ。」
定吉「へぇ、郵便局です。」
旦那「郵便局、どうだった。」
定吉「別に、変わった事ありませんでした。」
旦那「何を言ってるんだよ、あたしはねぇ、お前に、郵便局へ行って、切手を買ってきて ほしかったんだよ。」
定吉「なぁんだ、それならもっと早く言ってくれれば、今行ったついでがあったのに。」


ぶっかき

ただ今は、交通機関も冷房が完備されておりますが、夏など、この冷房のないバスに乗り 合わせたりしますと、暑くて大変でございました。
妻「ねぇ、あなた、暑いわねぇ。」
夫「そりゃ、夏なんだから、あたりまえですよ、がまんしなさい。」
妻「でもねぇ、あなた、あたし、喉が乾いて、乾いて、がまんできないわ。」
夫「そんな事言ったって、こんなバスの中じゃぁ、どうしようもないじゃないか。」
妻「でも、喉が乾いて、どうしようもないのよ。」
なんてんで、夫婦が話をしておりますと、そばにおりました男が。
男「あのぉ、大変お困りのようですがねぇ、もし、よろしかったら、ここにぶっかき氷がある んですけれどもねぇ、召し上がりますか。」
妻「まあ、ありがとうございます、喉が乾いてしかたがなかったもんですから、それでは、ひとつ。」
なんてんで。
妻「づー、ねぇ、あなた、この氷、とっても冷えていて、おいしいわよ、あなたももらい なさいよ、すいません、うちの旦那にも一つ。」
なんてんで、夫婦でぶっかき氷をもらいまして、ところが、この喉が乾いているところ へ、氷なんぞをなめますと、よけいに喉が乾きまして、もう一つ、もう一つなんてんで。
妻「すいません、もう一つ。」
夫「およしなさいよ、それがねぇ、お前がいけないてんだよ、もう一つ、もう一つって、 そんなにもらったら、この方の分が無くなっちゃうじゃあありませんか。」
ってぇと。
男「いいえ、あたしはいいんですけれどもねぇ、中に入れてある猫の死体が持つか、どう か。」


オウム

こう木に止まっているオウムを飼育いたしまして、オウムの両足にひもを付けまして、 右足のひもをチョンチョンと引くと、オウムが「オハヨウ」と言うように教えるんですな。
で、今度は左足のひもをチョンチョンと引くと、オウムが「コンバンワ」と言うように教 えまして、オウムがすっかりなれたところで、今度は両方のひもをいっぺんに引いたら、 オウムは何て言ったか、わかりますか、「オハヨウ」と「コンバンワ」を合わせたから、 「コンニチワ」?、いいえ、違います、答えは「危ネェ、落チルジャネェカ!」


カレンダー

子供が文房具屋にカレンダーを買いに来まして。
文房具屋「坊や、どんなカレンダーが良いのかい。」
子供「うん、なるべく休日が多いやつ。」


テープレコーダ

世の中には、手先の器用なやつってのがおりまして、壊れた電気製品でも、分解修理し てしまう、なんてのがおりまして。
男壱「ほら、この間壊れて預かっていたテープレコーダ、あれ直ったから。」
男弐「本当?あ、本当だ、動くよ、大変だったでしょ。」
男壱「いやぁ、私にかかればこんなものは、朝飯前ですよ、で、これ、余った部品です。」


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