艶笑小噺集



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チョコレート

女の子がお菓子屋さんにチョコレートを買いに来まして。
お菓子屋「チョコレートは、男の子の人形の形をしているのと、女の子の人形の形をしているのがあるけど、どっちがいい?」
女の子「男の子の方がいいわ。」
お菓子屋「へぇ、どうして男の子の人形の方がいいの。」
女の子「だって、食べる所が多いから。」


テンガロンハット

西部のガンマン、ビリーザキッドが旅をしておりまして、夜になりましたので、荒野の一軒家に一宿を所望しました、一軒家に住んでおりましたのは、妙齢のマリーさん。
ビリーザキッド「今晩一晩、泊めてもらいたいのだが。」
マリー「お泊めする事は構いませんが、何もお構いできません。」
ビリーザキッド「いや、寝る所さえあれば十分だ、しかし、このうちの壁には釘が無い、俺のテンガロンハットを掛けたいのだが、どっか帽子を掛ける所はないのか。」
ってぇと、マリーさんは、かしこまりました、と言って、ビリーザキッドの見ている前で、洋服を脱ぐと、生まれたままの姿になってしまいまして、これを見たビリーザキッドが、思わず。
ビリーザキッド「おお、帽子を掛ける所が出来たゼ。」


トルコセルベス

ある国の皇太子が、隣の国を表敬訪問いたしまして、夜の晩餐会の時、いい女がおりまして、その国の外交官を呼びまして、今晩あの女を自分のホテルの部屋へよこすようにと、部屋で待っておりますと、はたしてその女がやってまいりまして、皇太子、さっそく、女をベットへいざないますと、一戦初めますと、女は「うーん、トルコセルベス!」なんてんで、ところが皇太子この国の言葉が分かりませんので、これはきっと上手くいっていると言う様な意味なんだろうと思いまして、自分も「うーん、トルコセルベス!」女は、額に汗を浮かべまして「うーん、トルコセルベス、トルコセルベス!」なんてんで、終わると女は、とっとと帰ってしまいまして、ま、これもこの国の習慣なんだろうなんてんで、皇太子大して気にもしませんでおりました、そして、翌日、親善のゴルフ大会、一番ホールのティーグラウンドに立ちました皇太子、第一打を打ちますと、球は大きくフックいたしまして、あろう事か、隣の二番ホールの穴にコロンと入ってしまいました、するとそれを見ていた観客がいっせいに「なぁんだ、トルコセルベスだ。」


ネクタイ

男壱「男の体の真ん中にぶらさがっていて、ぶらぶらしてるものなんだ。」
男弐「ええ、あそこかい。」
男壱「馬鹿、ネクタイだよ。」


一月

男壱「赤ちゃんてのは、何か月で出来るか知ってるか。」
男弐「うん、十月十日だろ。」
男壱「いや、違うんだよ。」
男弐「違うって、じゃ、何か月?。」
男壱「うん、一か月なんだな。」
男弐「一か月?そりゃまたどうして。」
男壱「ううん、たった一月(一突)。」


羽子板

お正月でございまして、町内のみーちゃんが、綺麗な着物で、羽つきをおりますと、そ
こへ町内の悪ガキの与太郎がやってまいりまして。
与太郎「みーちゃん、今日は着飾って綺麗だね。」
みーちゃん「あんたがそんな事言うなんて、何か下心でもあるんでしょ。」
与太郎「そんな事ないよ、みーちゃん、なにしているの、わー羽つきか、おいらにも、つかせて。」
みーちゃん「イヤよ。」
与太郎「そんな事言わないで、つかせてよ、ねえ、つかせてよ。」
みーちゃん「あんたなんかにつかせたら、お母さんにおこられるもん。」
与太郎「よーし、つかせてくれないなら、こうだ。」
なんてんで、与太郎はみーちゃんを押し倒して、羽子板を無理やり取ると、力まかせに羽をぽーんとつきますと、羽はすーっと上がって、屋根の雨どいの所へすっと止まってしまいまして、与太郎は、俺知らーねー、なんてんで逃げてしまいます、みーちゃんが泣いていると、そこへ町内のお医者の先生がやってきまして、新年会の帰りかなんかでしょうか、髭の上にビールの泡かなんか乗せまして。
医者「どうしたの、みーちゃん、ええ、羽つきの羽が、ああ、雨どいのところに、止まっちゃったのかい、ああ、心配する事はないよ、今ね、このお医者の先生が取ってあげるから。」
なんてんで、お医者の先生は、持っていたステッキで、雨どいを叩くと、羽がすーっと落ちてきまして、みーちゃんは、先生ありがとう、なんてんで、おうちへ帰りまして、ここまでは、良かったんですが、このことをみーちゃんが、おうちへ帰ってから、お母さんに話たんですな。
みーちゃん「ねぇえ、お母さん、今日ね、あたしが表で遊んでいると、与太郎が来てね、
あたしの事、綺麗だ綺麗だって。」
お母さん「まあ、いやらしいやつだね、あんなやつ、かまうんじゃないよ。」
みーちゃん「うん、あたしもね、あんたがそんな事言うなんて、何か下心でもあるんでしょって言ってやったの。」
お母さん「そうだよ、そのくらいの事、言っておやり。」
みーちゃん「そうしたらね、与太郎のやつ、あたしにつかせろ、つかせろって言うのよ。」
お母さん「まあ、いやらしい、もう盛りが付いているのかね、あんなやつにつかせちゃだめだよ。」
みーちゃん「うん、だからもね、あんたなんかにつかせたら、お母さんにおこられるって言ってやったの。」
お母さん「そうだよそうだよ、そのくらいの事言わなくちゃ。」
みーちゃん「でも、お母さん、女って弱いものね、あたし与太郎に押し倒されて、無理やり、つかれちゃったの。」
お母さん「ええ、お前、与太郎に、つかれちゃったのかい。」
みーちゃん「それで、運の悪い時ってのは、仕方がないものねえー、一発で止まっちゃったの。」
お母さん「ええ、お前、止まっちゃったのかい、まぁ、どうしよう。」
みーちゃん「でも、お母さん、安心をして、すぐにお医者の先生が来て、おろしてくれたから。」




ある所に、いつも運が悪いくせに、たいへんギャンブル好きな男がおりまして、いろいろなギャンブルに手を出しますが、けっして儲かったためしがございません、みかねた友人が。
友人「おい、お前は運が悪い男なんだから、いいかげんにギャンブルから手を引いたらどうだ。」
ってぇますと、くだんの男。
男「何を言う、俺だって、何億分の一の激戦を勝ち抜いて、この世に生れてきたんだ。」


縁結び

十月の事を神無月と申しまして、これは日本中の神様が、みんな出雲へ行きまして、人間の夫婦の縁を結ぶんですな、ですから、出雲の方では、これを神有月と申しまして。
神様「さあさあ、いつまでも一人にしといちゃいけませんよ、今年も夫婦の縁を結ばない とねぇ、そっちにいいのありますか、今年十九になる男、そっちは、今年十六になる娘、いいねぇ、じゃ、それとこれと。」
なんてんで、夫婦の縁を結んでいくんですな。
神様「ええ、やかましいねぇ、どうしたの、うん、荒神様が、お神酒に酔っぱらっちゃった、しょうがないねぇ、ええ、毎年だよ、荒神様が、お神酒に酔っぱらっちゃうのは、ええ、何、大黒が気に入らないって、どうして、人前で帽子を取らない、無礼だ、そんな事言ったって、大黒様は帽子を取らないんだよ、ああ、大黒様、小槌なんか振り上げないで、ああ、とめてとめて、あーあ、なんだよ、せっかく結んだのを、めちゃくちゃにしちゃったよ、貸しておくれ、これとあれだろ、これとそれだろ。」
なんてんで、結び直していく。
神様「あれ、半端ができちゃったよ、女が一人で男が二人だ、しょうがない、これ三ついっしょに結んどけ。」
なんてんで、こう言うのが三角関係。

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